ランボーシリーズ一作目はまぎれもない傑作/First Blood
現在公開中の「ランボー・ラスト・ブラッド」。70歳をすぎてもなお躍動するスタローンに元気をもらえる作品ですが、このシリーズがはじまったのは今から38年前。
ディヴィッド・マレル原作の『一人だけの軍隊』をベースに制作されたのがご存知「FIRST BLOOD」。日本での公開タイトルである「ランボー」を気に入ったアメリカの制作スタッフが、次作から「RAMBO」というタイトルをつけたのは有名な話ですね。
「ランボー2」以降は暴力描写等で批判されることも多いシリーズですが、この第一作はまぎれもない傑作で、時代が進むにつれ、より輝きを増すという稀有な作品です。
ベトナム帰還兵のジョン・ランボーがたまたま訪れた街の警官たちに不当に逮捕されたことをきっかけに、ランボーのひとりだけの戦争がはじまる.....という展開です。
名シーンだらけの作品ですが、印象深いシーンをいくつかあげてみましょう。
1.腕の傷口を自分で縫うシーン
まず何といってもこれでしょう!
警官達に追われ、崖から飛び降りた時に負傷した腕の傷口を自分で縫うシーンです。
これは特殊メイクで撮影されたというのが真相らしいのですが、実際に傷口を塗ってるといった噂が出たくらいリアルなシーンで、真偽は抜きにして、子供心に相当ショッキングなシーンでした。
今だにランボーといわれたら、まずこのシーンを想像します。痛いの嫌いなので。。
これ以降、こういった自分で傷口を縫うシーンはいろんな映画で見かけるようになりましたが、これだけリアルにエグいシーン見せているのは、ランボーだけな気がします。。
2.トラウトマン大佐初登場のシーン
ランボーを救いに来たのではなく、ランボーからあなたたちを守りにきたんだっていうセリフがすごく印象的で、ランボーの凄さを端的に表現しているセリフで好きですね。
ランボーを自分の作品だと豪語する上から目線のセリフのオンパレードですが、それが嫌味なく聞こえるのは、大佐役のリチャード・クレンナのどこか気品のある雰囲気によるところが大きいです。
リチャード・クレンナの普段はクールでありながら、時に情熱的で人間味あふれる演技は、グリーンベレーという組織の特徴をある意味象徴していますし、ランボーの父親的存在としてこのシリーズにはなくてはならないキャラクターになっています。
ウルトラマンの科学特捜隊の隊長だった小林昭二さんの日本語吹き替えも印象深いです。
3.ランボーのゲリラ戦初公開シーン
警官たちが森の中でランボーのゲリラ戦法に屈するシーンは、ランボーという化け物を襲われる警官とともに観客が体感します。
アクションというよりカメラワークを駆使したサスペンス要素の強いシーンですね。
いつも強がってる保安官が、ランボーに殺されかけた恐怖で涙するシーンがすごく印象的で、映画やドラマの脇役で数々名演技をしてる保安官役のブライアン・デネヒーのうまさが光るシーンです。ピーター・グリーナウェイの「建築家の腹」の演技が印象的だった隠れた名優でした。
4.映画史に残るランボー魂の叫び
Nothing is Over.....何も終わっちゃいないんだ!
ここからはじまるランボーの延々と叫び、語るシーンは名シーン中の名シーンです。ランボー、およびスタローンをバカにする人がいれば、このシーンを見せたらいいんですよね。。演技がうまい下手を超越した、魂の叫びともいうべきシーンです。
特に戦友のダンが爆弾で吹っ飛んで肉片がランボーにへばりつくセリフのところは、シーンを見せずに悪夢の惨劇をイメージ出来てしまいますし、戦争の恐ろしさ、むごたらしさを言葉だけで想像させてます。
ランボーが子供のように泣きじゃくり、大佐の胸に抱きつくシーンは、いつ見ても、、泣けます。シリーズの中で一番、ランボーが人間性を爆発させるシーンですね。
このシーンがあるからこそ、その後のシリーズでアクションバカみたいになっても許されるのでしょう。
実際、映画のトーンも第一作はニューシネマの影がちらつきますし、原作では主人公は負けるどころか自殺していますから。。
ロッキー1のラストと並ぶスタローン出演作の中でもぶっちぎりの名シーンですし、個人的には映画史においても相当な名シーンだと思います。
また全編にわたり流れるジェリー・ゴールド・スミスの勇猛な音楽が素晴らしく、シリーズの前半三作すべて音楽を手掛けています。監督や撮影監督などは一作ごとに交代しているのに、音楽だけは変わらないところが、映画における音楽の重要性をスタローンがいかに大切にしてるかが伺われます。テーマ曲と「It's a Long Road」は永遠の名曲です。
2作目以降は何かと馬鹿にされることも多いシリーズですが、この一作目だけは、スタローンの出演作全てにおいても突出した傑作であり、食わず嫌い関係なしに幅広く多くの人に見てもらいたい作品です。
きっとスタローンの印象が少し変わるかもしれませんね。。