「透明人間」を見る前に見るべき作品その1/インビジブル
7月10日から公開の話題のホラー映画「透明人間」。
その公開前に透明人間にまつわる作品をあれこれご紹介していきます。
まず最初の作品は、鬼才ポール・バーホーベン監督による2000年の透明人間映画「インビジブル」。
「ショーガール」の興行的大失敗から立ち直れず結局、この作品を最後にバーホーベン監督はハリウッドから透明人間のように遠ざかっています。
しかし前作の「スターシップ・トゥルーパーズ」やこの「インビジブル」もそうですが続編がつくられており、熱狂的ファンダムに支持されたカルトムービーとして今もなお人気の作品です。
ケヴィン・ベーコン演じる天才科学者セバスチャンが自ら人体実験して透明人間となるが、元の体に戻れず、やがて精神を病み恐ろしい行動を起こしていくストーリーです。
透明人間になる過程の描写が、エグみのある人体模型といった感じで、グロテスクな映像表現はこの部分だけを見てもバーホーベン監督の映画だなと実感できます。
映画序盤は高飛車で下衆な天才科学者を演じるケヴィン・ベーコンの小気味良い演技に引っ張られ、グイグイとストーリーに入り込んでいき、このあたりの天才であるにも関わらず軽薄で浅いキャラクター設定が、のちのちマッドに豹変していく展開に説得力を生んでいます。
透明人間になった最初は、ちょっとした悪戯や性的欲望丸出しで中二男子全開の行動にとどまっていましたが、何度実験しても元に戻ることができなくなってから、主人公がどんどん異常な行動を起こすようになっていき、完全にサスペンス映画にシフトしていきます。
ケヴィン・ベーコンが主演ということで、メリル・ストリープと共演した「激流」で見せたような狂気の演技を再び見れるのかと思いましたが.....狂気の部分はすべて透明人間なので、細かい顔の表情がわからず、今イチ、ケヴィン・ベーコンの起用が無駄になっている気がしますね。
透明人間では姿がわからないため、途中からゴム製のようなものを顔と手に装着するのですが、できればもう少し表情がわかるくらいのものにしてほしかったです。
完全に「犬神家の一族」のスケキヨみたいでした。。
しかしサスペンスとしての面白みや、ストーリー展開は申し分なく、バーホーベン的エンターテイメントを十二分に楽しめる仕上がりになっています。
他の主要キャストもなかなかの顔ぶれで、「リービングラスベガス」でオスカーにノミネートされたエリザベス・シューや、「ゴーン・ガール」のキム・ディケンズ、そしてここ数年俳優としてのピークを迎えている“サノス俳優”ジョシュ・ブローリンも主人公の同僚科学者を熱演しています。
バーホーベン監督の作品ということで、B級ぽさを随所に感じられるのですが、透明人間という題材をうまく扱ったエンターテイメントになっており、気軽に面白い映画が見たい時にはおすすめの作品です。
やはりバーホーベン作品にはハズレがないなぁとあらためて感じる作品ですね.....あ、「ショーガール」は。。。