狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

ストーリー・オブ・マイライフ/サブタイトルが何故「わたし」の若草物語かがわかる映画

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誰もが知ってるアメリカの文学の名作を映画化した「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

映画好きの私でも苦手な作風があって、邦題に「愛の〜」がつくような、いかにもお涙頂戴ものの作品は素直に見れないこともあり、あまり見ないようにしています。

そして次に苦手なのが、海外文学が原作のもの。

日本の文学の原作映画は、本を読むとあまり面白くないものでも、日本人が生来持っている陰鬱な部分にスポットをあてるため、ドロドロした情念があふれる映画が多いため結構面白いんですよね。

でも海外文学原作の映画は、どうも淡々としたストーリーテリングのものが多く、レ・ミゼラブルクラスのドロドロさがないとほとんど印象に残らないんです、私は。

そういう意味で、なかなか見るのを迷ったのがこの「ストーリー・オブ・マイライフ」です。

いかにもオスカーにノミネートされそうな作品で見事にノミネートされているところが、絶対自分には苦手の映画だと思っていました。

が.....この映画を見に行った理由はただひとつ、フローレンス・ピューが出演しオスカーにノミネートされていたから、、という理由でした。

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フローレンス・ピューといえば、2020年の上半期、ぶっちぎりで私のハートを掴んだ「ミッドサマー」に主演した女優。
プロレス好きの私は昨年の暮れ「ファイティング・ファミリー」というプロレス映画を見に行きましたがその作品にも主演していて、まさに自分の中で「旬」な女優です。

しかも彼女が演じるのは四姉妹の末っ子のエイミーということで、これは期待できるのではないか、、という淡い希望を胸に鑑賞。

この作品、内容は古典的な若草物語ですが、映画そのものの構造が、完全に現代的な目線で作られた、なかなか画期的な作品でした。

若草物語の原作はベースにしているものの、そこで描かれているキャラクターたち、およびその言動が今の女性に共感するような、当時の男社会を痛烈に批判しているセリフのオンパレードでした。

ここにも旧態依然の白人男性至上主義の象徴であるトランプ大統領へのアンチテーゼになっているようで興味深かったです。

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また若草物語自体、何度も映画化され、偏った作者以外は文学にあまり興味のない私でもおぼろげに内容を知っている作品。

何故そんな話を今また映画化するのか理解できませんでしたが、、なるほど、誰でも知ってる話はこういう風に解釈するのも「あり」だなぁと感心してしまいました。

この作品、実は時間軸がバラバラになっています

主人公のジョーはいきなり自分の書いた作品を出版社にもっていきますし、エイミーは冒頭ですでにヨーロッパで絵画の勉強をしています。

正直最初はとまどいましたが、その後7年前に戻ってストーリーが始まると少し落ち着きますが、また事あるごとに時間が前に後ろに移り変わります。

おぼろげにしかストーリーを把握してなかった私は、かなり置いてきぼりを食うことになりましたので、この作品をまだ見てない方で見てみたい方は、一度お話のあらすじを割としっかり見ておくことをオススメします。

私も帰ってから、アマゾンプライムで配信されている1949年版の若草物語をざっとみて完全に把握したくらいですので。。

とはいえ、何となく知っている程度なら楽しめることは間違いありませんし、時間軸操作が秀逸で面白い作品となっていた「ANNA」を最近見ていたこともあり、この時間軸の手法がなかなか心地良かったのも事実です。

もうひとつは、この作品の一番のキモで、実は映画内映画のカタチをとっています。

時間軸が前後するのは、物語の進行の中に主人公の回想が挿入されるからなのです。

そして映画のラスト付近の「ある仕掛け」によって結末が二転三転になったりと。。ここはネタバレすると大きな楽しみがなくなるので言いませんが、オスカーの作品賞にノミネートされるのも納得といった感じでした。

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お目当てだった四女役のフローレンス・ピューももちろん良かったのですが、この作品は主人公ジョーを演じたシアーシャ・ローナンが抜群に良かったです。

前半部分はボーイッシュな主人公を生き生きと演じ、そして後半部分では、ある出来事をきっかけに大人へと成長し凛とした女性になっていく様を演じています。

レディ・バードふたりの女王/メアリーとエリザベス」しか彼女の主要な作品は見ていませんが、この三作を見ただけでも間違いなく、彼女が若手ナンバーワンの実力をもった女優であると言えますね。

最近名優が続々ヒーロー映画に出演する傾向にありますが、彼女には当分、その手の映画には出演してほしくないです。

オスカーをとったら、出ちゃうのかな。。

自分が苦手だと思う映画も、いざ見てみると大体感動することも多いので、これからは好き嫌いを出来るだけせずに映画を鑑賞してみようかな.....と思わせるくらい良い映画でした。

おすすめです!

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