無双の鉄拳/マ・ドンソク入門編として最適な作品?
マ・ドンソク主演の2018年の韓国映画「無双の鉄拳」。
ドンチョルは市場で働くうだつのあがらない男。
ある夜、美人の妻と食事中に彼女の機嫌を損ねてしまい、彼が席をはずしてる間に彼女は先に帰ってしまう。
ドンチョルはあわてて家に戻るのだが、部屋は荒らされ彼女の姿はなかった。
次の日、彼の携帯に着信があり、相手はジスを誘拐したと話す。
警察を頼りにできないと思った彼は仲間とともに独自のルートで妻の行方をさがしていくのだが.....という展開です。
今回はいつもと違ってそんなにマブリー強くないのかな.....と思わせておいて、後半に怒涛のマブリーファイトが炸裂する胸のすく作品となっています。
ポスターヴィジュアルは見るからにノワール系の作品のようですが、コメディ色の方が強く感じられる作品です。
妻と出会う前は“雄牛”というあだ名で逆上すると手がつけられない設定なのですが、悪の組織と戦うシーン以外は、人の良さそうなキャラクター全開で、等身大のマ・ドンソクの雰囲気が垣間見れるようで、コメディ系の作品で見られる彼の姿に近い人物設定となっています。
そのぶんファイトシーンとのギャップが激しく、マ・ドンソクの魅力が十分に描かれている内容です。
「新感染〜」以降のマ・ドンソクの主演する作品は、いかに彼の魅力をワンパターンにならないように描いていくかということに主眼がおかれてるように感じます。
もちろん、彼の最大の魅力であるファイトシーンはお約束のように盛り込まれますが、その場面に行くまでの過程が、どの作品もわりと考え抜かれていて、その点が80年代のシュワルツネッガー、およびその周辺のアクションスター映画のような作品群とは少し違う感じもします。
その点はやはり、彼が演技のできるアクションスターだということが大きいのではないでしょうか。
この作品の冒頭で、追突されて車から出てくるシーンでは、カラダは大きいけど人の良さそうなオーラで全く威圧感がなくて「悪人伝」で殺人鬼に追突されて出てくるシーンと、全然違う雰囲気で驚きました。
こんなオジサンなら出てきても怖さを感じないですし、こういった何気ないシーンでも、彼の演技スキルの高さを感じられました。
つい最近まで、彼は演技はそれほどできない俳優だと思ってた私ですが、彼の作品を見ていくうちに、毎回違うマ・ドンソクに会えるので、180度その考えは変わりました。
見た目がインパクトがあって、アクション凄くて、演技もうまくて、おまけに英語もできる。。
ハリウッドにも呼ばれるべくして呼ばれた感がありますね。
人身売買の組織の描写などノワールっぽい雰囲気も随所にありますが、ドンチョルの弟分ぽいキャラクターの二人が良い感じでコメディ色を出していて、このスリラータッチと笑いが同居しているところがいかにも韓国映画だなぁと感じる部分でしたね。
「無双の鉄拳」は、怒らせてはいけない人物を怒らせたら大変だ.....というヴァージョンのマ・ドンソク映画で、彼の魅力を堪能する入門映画として最適な作品ではないでしょうか。。