狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

罪の声/グリコ森永事件を発展させた王道日本映画の犯罪サスペンス

このブログでとりあげるには珍しい題材ですが、現在大ヒット公開中の作品「罪の声」。

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京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日偶然、父の遺品のカセットテープと手帳を見つける。

カセットテープをきいてみると、何かを指図している自分の声が入っていた。

気になっていろいろ調べてみると、それはすでに時効となっている、30年前の大手製菓メーカーの脅迫事件に使われたものであった。

思わぬカタチで事件に関与したことを知ってしまった俊也は、事件の背景を知る人物を探し出し、謎を解明しようとするのであったが.....という展開です。

この作品、懐かしのグリコ森永事件を題材にしたフィクションで、当時私も中学生だったことで、予告時点で興味があった作品です。

予想以上にめまぐるしく動くストーリーで、先の読めない展開でごちそうさま感が半端なく、おもしろかったですね。

グリコ森永事件を題材にして、よくここまでフィクションを展開させたっていうのが驚きで、まず原作が素晴らしいですね、読んでませんが。。なかなか見応えある映画になってます。

ネット上での一般レビューがかなり高いので、見る前はかなり忖度入ってない?って思ってましたが、おおむね忖度はないですね、レビューは。

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私自身、テレビを見ないので、今時の日本の俳優さんには全く先入観がないこともあり、全然普通に見れました。

小栗旬さんは私が彼に抱いているイメージに近い役柄でしたが、主役としての役割を十分果たしてましたし、やたら英語のシーンがありましたが、来年公開予定のハリウッド版ゴジラの新作に出てるというのも関連していたのでしょうか。
ゴジラはマストで見に行くのでで、その時どんな感じなのか楽しみですね。

星野源さんは園子温監督の「地獄でなぜ悪い」くらいしか見たことがないのですが、普通っぽいところがいいですね。普通の演技って一番難しいですから。。
偶然事件に巻き込まれてしまった人って感じがすごく出ていて、ナイスキャスティングって感じがしました。

この映画見た人のあるあるかもしれませんが、オーダーメイドのスーツをつくりたくなってきましたね。。

脇を固めるのが松重豊さんや古舘寛治さんなどで、超安心して見れる点も良かったですし、事件の鍵を握る脅迫電話の声をふきこんだ少年・誠一郎の大人になった姿を演じた宇野祥平さんが自分的にツボでした。

登場した時の、部屋の感じと背景にうつるアレを見て、すぐいなくなるキャラなんだろうなぁと思って見てましたが、超重要人物で、セリフだけの演技が中心ですが、すごく悲壮感をただよわせていて、素晴らしかったですね。

もう、最後のアレなんて、泣かされました。。

この役柄のために10キロ減量したみたいで、これから注目の俳優さんになっていきそうですね。

安田顕さん主演の映画「俳優・亀岡拓次」のモデルになった一人の俳優さんらしいのですが、インパクトのある重要な脇役演技でした。

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この作品の後半の方で犯人グループの全貌がだんだんとわかってきて、この事件を引き起こした動機が、国家や警察に対する恨みからくる要素も含まれていて、全共闘の頃の背景が登場してきます。

結局、その人たちの利己的な思想で、子供の世代が不幸を見ることになり、あなたたちの思想は間違ってる!っていうくだりがでてくるのですが、近年、こういう全共闘の思想を否定するような映画が多い気がします。

赤軍のような末路を見ると、ある部分では間違っていたと思わざるをえませんが、今の選挙にもいかず、政治に関心がない若い世代を見ていると、私は完全に否定はしたくないですね。

幼少の頃、学生運動のしっぽのようなものを実際見ていますし、当時学生だったら私も絶対参加していたと思うし、そういう思想を「化石」扱いにしているところが、ちょっと腑に落ちませんでしたね。

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そして、その70年前後の激しい時代を象徴するような俳優さんたちがキーパーソンとして登場します。

事件を起こした中心的メンバーのひとりを宇崎竜童さんが演じています。

演技どうこうより、この時代、というか反体制を象徴するカタチで登場してきた方ですから、納得の配役ですね。

そして星野源さんのお母さん役で梶芽衣子さんがでてきます。

梶さんといえば、やっぱり女囚さそりですよね。 本当にかっこよかったし、この時の梶さん、今でも全然通用するくらい綺麗ですよね。。 日本が激動の時代に活躍していた女優さんのひとりで、最初、ただの病気の母親役で出てきた時、なんでこんな人をこんな扱いのキャラに使ってるんだろう、失礼だなーって思ってたら、最重要人物でした。。当然ですね。

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この作品、おもしろかったのですが、一点不満があって、映画的快楽が全然ないんですよね。。

大きいスクリーンで予算のかかったNHKのドラマ見ている感じにもなりました。

そういう部分を追求する映画ではもちろんなく、普段映画を見ない方にも親切すぎるくらい親切にストーリーを展開させているのですが、映画好きの目から見ると、ちょっと編集、無難すぎかな?と思いました。

ギミックでもないけど、順番を少しだけ変えたり、編集の仕方をひと工夫すれば、諸外国の映画祭などでも注目を浴びるような作品になったいたんじゃないかなー、、って思ったのですが、、製作者サイドは全くそういうのは狙ってないんでしょうね。

それは置いといて、とにかく、今年見た邦画の中では上位にくる作品ですし、映画好きの方にもおすすめできるようなおもしろい話でおすすめです。

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