フェニックス~約束の歌~/ベタな作品と侮れない韓国映画の底力
マ・ドンソク目的で、それほど期待しなくて見た映画「フェニックス~約束の歌~」。
泣きの名作という評価で「ROCKIN' ON HEAVEN'S DOOR」というタイトルからも、ちょっとベタすぎて、マ・ドンソクが出演していなければ絶対見ていなかったであろう作品ですが.....評判通り、泣かされました!
人気アイドルのチュンイは傍若無人な態度で困らせていたが、クラブでの暴行事件で世間を騒がせたため、末期ガン患者のためのホスピスで社会奉仕活動をすることとなる。
いやいや仕事をしていた彼だが、この施設が命の期限を宣告された人々が最後の時を過ごすホスピスであることを知り、少しづつ施設の人々の中に溶け込んでいく。
そんなある日、ホスピスが資金繰りに困っていることが発覚し、ホスピスの患者で結成していたバンド‘フェニックス’のメンバーは、賞金のかかった音楽番組のオーディションに出場しようと、チュンイに協力を頼むのだが…。
まず何といってもキャラクター描写が見事ですね。
登場して間もなく、一瞬でわかるようなわかりやすいキャラクター設定がなされていて、しかも一通り紹介したあと、彼らがどのような病に侵されていることなどを順に説明していく丁寧さ。
さすがにちょっと説明過多かなとも思いましたが、ファミリー映画であるためにわかりやすく
説明しているのかなという感じでした。
老若男女だれが見ても感動できるような映画作りになっています。
日本でいえば「三丁目の夕日」あたり.....なのかな?
ただ舞台となるホスピスが、余命を受け入れて最後の時を過ごすという場所というあたりが、韓国人.....というより日本人にも共通する死生観が描かれていて、そこが良かったですね。
しかも年老いた人もいれば、10歳の幼い女の子までいるという設定、、この時点で涙腺がゆるんできてしまします。
ガッツリマッチョになる前のマ・ドンソクがいい味だしてますね。
今のマ・ドンソクにも通じるようなコワモテだけど根はいい人的なキャラで、クライマックスの展開も含めて、彼の演技は作品を魅力的に見せる一因になっています。
こういうツンデレのキャラクターを見ると、いつかマ・ドンソク主演で韓国版の寅さんのような映画も見てみたいですね。
最後の映像でのコメント部分は、ちょっと反則ですね、あれは。
ベタすぎるのに泣けてしまいます!
主演イ・ホンギのアイドル(?)映画として作られた作品なのかわかりませんが、そういった趣旨でも職人的な脚本で、誰もが楽しめるエンターテイメントに仕上げるあたり、韓国の底力を感じますね。
もちろん日本映画でも、アイドル主演で良い映画はあるのですが、ここまで突き抜けた良作があるかと言われると.....演技力も含めて、日本と韓国の差を痛感した作品でした。