狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

【テネット公開記念】インセプション/ノーラン的世界が最も堪能できる傑作

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映画史に残る傑作「ダークナイト」の次にクリストファー・ノーラン監督が創造した世界.....「インセプション」。

 

企業スパイの世界でトップの腕前をもつコブは、人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗むという技術をもっていた。

ある日彼は、サイトーという男から「インセプション」と呼ばれるミッションを依頼される。

それはサイトーのライバル企業の社長の息子の夢の中に入り、彼を混乱させ騙すといった内容のものだった。

このミッションが成功するれば、これまでの人生をリセットし、愛する子供のもとに帰れることを約束されたコブは、仲間を集め、ターゲットであるロバートと同じ飛行機に乗り、彼の夢の中に潜入していくのだが.....という展開です。

 

劇場で見た時は、知的風に見えるストーリーが興味深かったので一生懸命ストーリーについていこうとがんばりました.....が、正直「?」という印象しかなかったです。

レンタルでもう一度見て、なんとなく作品世界の全貌を把握しましたが、今回また見返してみて、時系列操作が最初の部分だけなので、意外とストーリーは難解ではないと感じました。

ノーランの映画すべてに言えることですが、圧倒的にカッコいい映像が、難解に見せるトリックのひとつとなっていますが、頭で理解するというより「感覚的」に見た方が、実は物語を理解でき純粋に作品を楽しめるのではないでしょうか。

IQの高い方ならともかく、私のように普通の学力くらいの方には、この鑑賞方法をおすすめします。

次々に下の階層に入っていくところがよくわからないという意見をききますが「感覚的」に見て、込み入った設定をあまり気にせず見るとより一層楽しめるということに気づきました。

ノーランの作品は、文系SFファンからは支持されるけど、理系のSFファンにはあまり評価されないらしいのですが、この作品や「インターステラー」はその典型といったところでしょうか。

理系オンチの私でも、理屈があってないと思う部分は多々ありましたし。。

ドラえもんの四次元ポケットから出てくる道具を見せられてるような映画だと思えば、単純に楽しめると思います。

 

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ただこの作品を諸手を挙げて支持することができないのは、「マトリックス」と設定が似ていて二番煎じに感じてしまうからでしょうか。

マトリックス」を見た時の衝撃が強かったので、夢の世界に入るという時点で「あれ?パクリ?」と思い、初見では作品に完全に入りきれなかった感じがします。

ただ入り口の部分は「マトリックス」そのままですが、そこからさらに第二階層、第三階層へと続いて、複雑(のように見える)構造にしているところは、さすがノーラン兄弟のアイデアだなぁと感心させられます。

特に映画後半部分では、違う場所で同時に起きている複数のシーンを交互につなぐという「クロスカッティング」といわれる映像技法を駆使して、物語に緊迫感と興奮を与えているところは見事ですね。

最も映画的醍醐味である「スリル」を見せるのが本当にうまい監督ですね、ノーランは。

映画好きが好むような「通」な映画になりそでが、それを娯楽作品に見えるようにさせている点は、何と言っても主演のレオナルド・ディカプリオでしょう。

これだけ演技がうまいのに、圧倒的にエンターテイメント作品で主役をできる俳優は、彼以外には見当たらないですね。

しかもジョニー・デップのような変装は一切しないですから。。

もちろん渡辺謙さんの演技も素晴らしく、ハリウッド娯楽作でこれだけ堂々と演技ができる日本人って凄いなぁ...とあらためて感じますね。

ある意味、この「インセプション」は彼のフィルモグラフィーの中でも最もクリストファー・ノーラン的といっても良い映画ですが、今回の「TENET」もそのノーラン臭がすごく感じられる予告でしたので、かなり期待して見に行きたいです。。

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