狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

【テネット公開記念】インソムニア/発掘良品感覚で見たいビッグネームが並ぶ作品

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メメント」によって注目されたクリストファー・ノーラン監督がハリウッドで撮ったはじめての作品「インソムニア」。


白夜のアラスカの田舎町で起こった少女の殺人事件の捜査のため、LA市警からドーマーとハップが派遣される。

一方、LAでは内務監察部による過去のドーマーの捜査に対する調査が進んでいて、ハップは証言を求められていた。

犯人をおびき寄せるためドーマーは罠を仕掛け、犯人を山小屋におびき出すことに成功する。

しかし、深い霧の中での追跡で、彼は犯人と誤ってエッカートを射殺してしまう.....という展開です。

 

新進気鋭の監督、面白い脚本、充実の演技陣とエンターテイメント作品として一級の作品になるはずなのですが、何か物足りなさを感じる映画という感想を初見時はもちました。

それから20年近くたって、あらためて見たのですが、やはり.....同じかな。。

主演のアル・パチーノは90年代には「セント・オブ・ウーマン」や「ヒート」などの傑作に出演し、第二のピークを迎えていたということもあり、作品の良し悪しに関わらず、充実した演技と圧倒的な存在感をかもしだしていたのですが、この作品あたりから、アル・パチーノにやや陰りが見え始めた感が当時はありました。

しかし今、見直してみると、十分「ザ・アル・パチーノ」ですね、カッコいい!

やはり彼が出演しているだけで、映画としての格が自動的にワンランクアップしますし、複雑な精神状態の男を渋く熟練の技で演じています。

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脚本も面白く、どんでん返し的なラストも含め、上質なエンターテイメントとして仕上がっています。

にも関わらず、やはり全体的な印象がもう一つ突き抜けていないという感想をもってしまのは、やはり監督がクリストファー・ノーランであるのに、普通の映画におさまっているという事が大きいからでしょう。

実際、リメイク作品ということもあり、脚本にノーランが関わっていない時点で「雇われ監督」だったことは明白で、すでにリブート版のバットマンも進行していたこともあり、イマイチ本作に集中仕切れていないのがフィルムから感じ取れるんですよね。。

脚本的には、完全に90年代的なサイコスリラーですので、当時の私には食傷気味で、当時はノーラン監督の作品ってことをあまり意識せず見たので、このマンネリスリラー感がイマイチな感想に影響しています。

逆に今見ると、サイコスリラーの部分は一周まわって新鮮に見れますが、ノーラン作品としての物足りなさの方がかなり大きいですね。

ノーラン監督の苦手なアクションシーンですが、この映画では年老いたアル・パチーノがメインですので、、編集で頑張りました!

共演がロビン・ウィリアムズということで、名優同士のコラボでワクワクして見たのですが.....奇跡は起こりませんでした。。

ロビン・ウィリアムズの犯人役がイマイチなのですが、キャラクターを絞りきれなかったのでしょうか、こんな名優が中途半端なキャラクターで、この点は初見時も見直して見ても同じ「?」という感想でした。

もしかして、食い合わせが悪いのか.....名優をキャスティングしても必ずしも良い結果にならないという典型ですね。

結局プラスマイナスの観点が微妙に違うものの、当時も今も同じような「何か物足りない...」という印象は変わりませんでした。

この作品はきっとたまたま借りてきたら面白かった!.....というTSUTAYAの発掘良品的な作品という位置付けが妥当な気がします。

その割にキャストも監督もビッグネームすぎるんですけど.....

 

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