イーオン・フラックス/展開は追わずにシャーリーズ・セロンだけを見ていれば良い作品
シャーリーズ・セロンがアクション映画に本格的に主演した最初の作品「イーオン・フラックス」。
2011年、ウイルスによって人類の99%が死滅してしまった世界で、生き残った500万人は、ワクチンを開発したトレヴァー・グッドチャイルドの一族の管理化の下、外界と壁を隔てた都市ブレーニャで暮らしつづけていた。
時は流れ2415年、反政府組織「モニカン」の戦士イーオンの妹で、妊娠したばかりのウナが反政府分子として抹殺されてしまう。復讐に燃えるイーオンのもとに、君主のトレヴァーを暗殺する指令がでる。彼女は改造人間シサンドラを援護に付け、要塞に進入し、トレヴァーを見つけ出すのだが。。という展開です。
2005年に制作された作品なので、アクションや映像の感じが「マトリックス」の感じをひきずってる作品ですね。
この頃は本当にディストピアな未来を描いたSF作品が多かったので埋もれがちな作品ですが、シャーリーズ・セロンが主演しているというだけで、目にされる機会が多い作品だと思います。
と、遠回しに感想をのべましたが、この作品、出来はそれほど良くありません。。
プロットをうまく活かしきれていないストーリーで、見ていて展開が気になる要素が全然ありませんでした。
特にアクション映画なのにアクションシーンがイマイチで、カット割りがもたついてる部分が見受けられ、スタントをカッコ良く見せきれてなく迫力がいまひとつ伝わりません。
最近の臨場感あふれるアクションに慣れすぎてしまったせいもありますが、再生スピードを少し早めるなどのテクニックも使われてないようで、アクションにキレを感じないんですよね。。
ただ....それを補って余りあるくらいにシャーリーズ・セロンが超カッコいい!!
原作がアメコミっぽいアニメーションということもあり、主人公のキャラクターは生身の方が断然いいですね。
衣装やシャーリーズのスレンダーなルックスも相まって、どちらかというと、日本のアニメのヒロインぽい印象を受けます。
もう10年早かったら映画版の攻殻機動隊の草薙素子は彼女に演じてもらいたかったですね。そうすれば、もうちょっとあのヒドい作品の印象も変わってたのかな.....
彼女のアクションシーンも前述したようにちょっとモタっとしていてキレがないのですが、彼女の場合はそこを顔の表情などの演技の部分で補っています。
この作品の時点ではまだ確立はされてませんが、今ではもう歴代のアクション系女優と肩を並べるくらい、アクション映画でも映画史に残る存在となっていますね。
「エイリアン」のシガニー・ウィーバーにも言えることですが、演技力がないと優れたアクション女優にはなれませんから。。
またこの作品、美術についてはなかなかかっこいいデザインのものが登場します。
予算がそれほど莫大に使われてなさそうな作品ですが、それが功を奏して、ほどよくシンプルな未来造形になっていて、デザインについてのオリジナリティ度は高い作品です。
設定が複雑なわりに、あえてナレーションなどで語っていない部分が多いせいか、ストーリーがぼやけてしまうところも出てきますが、あまり気にせず、ただシャーリーズ・セロンのカッコ良さだけを見る映画として価値はあると思います。
彼女のファン以外が見たら、ノリきれない映画になってしまいそうですが。。