狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

ヤング≒アダルト/胸糞なのに何故かせつないブラックコメディの秀作

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シャーリーズ・セロンという女優は、毎回全く違ったキャラクターを演じて私たちを楽しませてくれますが、そんな彼女のフィルモグラフィーの中でも、かなりインパクトのあるキャラクターを演じている作品なのではないでしょうか。

ジェイソン・ライトマン監督作品「ヤング≒アダルト」。

 

バツイチで落ち目のヤングアダルト小説のゴーストライターであるメイビスは、ある日元恋人のバディから、生まれたばかりの子供の誕生パーティへの招待メールが届く。

彼女は戸惑いながらも、彼とヨリを戻すことを密かに期待しながら、生まれ故郷の町へと帰る。

着いた日の夜、彼女はバディに電話し、次の日に落ち合う約束をとりつける。

そして立ち寄ったバーで、偶然学生時代の同級生のマットに声をかけられ、酔っぱらったメイビスはバディへの想いを打ち明けるのだが。。

 

自分中心に世界がまわってると思ってる人には結構会ったことがありますが、ここまで度が過ぎると、おめでたいを通り越して可哀想になってくる.....っていうキャラクターが映画的には最高です!

実際まわりにこんな人いたら、凄く面倒臭くって大変でしょうが。。

主人公のメイビスは、見ていて腹立たしくなりますが、時折見せる弱い部分がたまらなく可愛いという複雑なキャラクターなんですよね。

美貌と演技力の両方を高いレベルで兼ね備えたシャーリーズ・セロンでなければ、演じるのが難しいキャラクターだったでしょう。

だからこの映画を見て、気分を害した人は、完全に彼女の演技に転がされてるっていう証拠なんです。

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個人的には、ヤングアダルト小説を書きつづけているせいで、アラフォーになってもヤングアダルトの思考回路のままのシャーリーズ・セロンが可愛くってしょうがなかったですね。

メイビスの高飛車な部分を共感できる人ってなかなかいないと思いますが、このキャラクターのもうひとつの側面である、都会で生活していて生きるのが下手な大人たちが見たら、胸をしめつけられるような作品なのではないでしょうか。

自分の意思で地方から都会に出てきた人たちって、ほとんどの人が田舎で生活することを拒んだ人だと思うのですが、田舎に帰ると地元の友達が学生時代の延長戦上で生活しているのが、うらやましく感じる時もあるんですよね。

もちろん彼らも生きてく上で苦労する事はいっぱいあるのですが、しっかり根を下ろした生活をしている人たちと、都会に出てきた根なし草のような人間とでは、気持ちの余裕という部分で全然違いますから。。

メイビスが不安で酒に溺れてしまうのも気持ちはわかりますし、家族がいなければなおさらですよね。

この作品は都会の人から見た田舎の視点で描かれていますが、都会の生活に憧れながらも現実的な問題で田舎で生活することを選んだ人たちである下半身障害者のマットと彼の妹が、メイビスと故郷をつなぐ緩和剤の役割を果たしています。

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マットとは学生時代はロッカーが隣にもかかわらず話もしなかったのに、大人になってから一番理解しあえる関係になったというところも興味深いですね。

私もそういった感じの友人がいるのですが、年齢や状況によって急にウマがあう仲間ができるってところも、この作品に親近感をおぼえる部分ですね。

映画の冒頭、恋人からもらったミックステープに入ってたティーンエイジ・ファンクラブの曲を何度も頭からかけるところが笑えますが、メイビスのバディと一緒だった時への異常なまでの執着があらわれていて、イタくてせつなくなりますね、このシーンは。。

私は恥ずかしくて過去になんて戻りたくないタイプですが、過去が忘れられない人にとっては、この作品は物凄く共感できるのか、、それともイタくて見てられないのか、どちらでしょうか?

個人的には結末の居直り方が爽快で、「時計じかけのオレンジ」のようにスッキリしました。

最後の方ではからだを張って笑かせてくれるシーンもあり、シャーリーズ・セロン女優魂がいつもと違うカタチで炸裂している作品です。

ペットボトルのコーラを飲んでゲップしたり、似合いもしないハローキティーのTシャツを着てるシャーリーズ・セロンがおかしくて、抱きしめたくなるくらい可愛いくて大好きな作品です。。

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