狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

新感染 ファイナル・エクスプレス/ハリウッドに負けない超一級のエンターテイメント

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マ・ドンソクが一躍スターダムに躍り出た韓国発のゾンビ映画新感染 ファイナル・エクスプレス」。

 

ファンドマネージャーのソグは仕事一筋で家庭はほったらかし。妻と別居し、母と、娘のスアンと暮らしていた。

娘が誕生日にひとりで母親に会いに行こうとしていることをしったソグは、仕方なく一緒に釜山へ行くことにする。

翌朝、親子をのせた列車の発車直前に、ひとりの女が異様な様子で駆け込んできくる。

彼女はゾンビウイルスに感染していたのだった。

女は車内で倒れていたところを介抱しようとした乗務員に突然襲いかかり車内はパニックとなる。

そして次々とウイルスに感染したゾンビたちは、前の車両へと進んでいくのであった。。

 

当時、まだ韓国映画をほとんど見ていなかった私ですが、予告編につられて見に行ったら.....ヤラレました!

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列車という閉鎖空間でゾンビが一車両ずつ襲ってくるという、ゲーム的なゾンビ映画のアイデアもさることながら、マ・ドンソクをはじめ俳優陣の演技が素晴らしいです。

コン・ユ演じる主人公のファンドマネージャーがゾンビと格闘しながら父親として成長していく様を描いていますが、ゾンビ映画に親子の関係を盛り込むという人情要素が入っているところが日本でも受けた理由のひとつなのではないでしょうか。

コン・ユといえば幼児虐待を描いた傑作「トガニ 幼き瞳の告発」でも人間として成長していく様を見せていますが、心の弱い人間がだんだん強くなっていくキャラクターを演じることが多い俳優ですね。

イケメンさんなんだけど、優しそうにも少し冷たそうにも見えるルックスで、そのあたり大沢たかおさんを彷彿させますし、演技がうまいというわけではないですが。

また主人公二人とゾンビ相手に奮闘する野球部の少年役をチェ・ウシクが演じています。

「パラサイト」の主人公家族の息子役も印象的でしたが、実はカナダ国籍ということで、「パラサイト」のヒットを機にインターナショナルに活動していきそうな俳優ですね。

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そして、我らがマ・ドンソクです!

腕っぷしだけでゾンビと戦うキャラクターなんて記憶にないですが、それが全く違和感なく見られるくらい説得力ある二の腕!

ジョン・ウィック・シリーズを機に再び肉体アクションが注目されはじめた時代に登場した新世代(といっても当時46歳)のアクションスターが生まれた瞬間でした。

アクションシーンが凄くて見過ごされがちですが、実は演技派のマ・ドンソク。

最近彼の映画を数多く見て、あらためて俳優としてのマ・ドンソクに魅了される日々です。

ぶっきら棒なルックスも、善か悪かなどキャラクターにあわせて微妙に変化させていて、さらに肉体も強い役の時は大きく、それほど強くない場合は絞っていて、あらためてプロフェッショナルな俳優だと感じさせてくれます。

でも結局、俳優の中で一番凄かったのは娘役の子ですね。

「トガニ」などもそうですが、韓国の子役って何であんなに演技うまいんでしょうね。。

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とにかくエネルギーに満ちあふれた作品なのですが、何回か見てあらためて思ったのが、とても丁寧に作られていて、ヒットするべくしてヒットした映画なんですよね。

開始20分くらいまでで主要キャラクターの人物像がわかるよう紹介されていて、そのすぐ後、最初の見せ場がやってきて観衆のハートをつかみます。

ホラー映画として常に観客に恐怖を与えながら、ドラマ部分がおざなりにならないように、父親のダメさ加減を劇中いろいろな場面で挿入させています。

挙げ句の果て、子供に「パパは自分のことしか考えてない」と言われてしまいますし。。

そんなダメな父親が.....という最後は感動的な結末で、一級のエンターテイメントに仕上がっています。

マ・ドンソクの夫婦や野球部の子、そして老姉妹などサブストーリーも複雑にならない程度に挿入し、乗客の中にもバス会社の乗務のようなヒールっぽい存在を配するなど抜け目のない設定で、本当に良くできた脚本だとあらためて感じました。

ゾンビになるタイミングが人によって違うなど、ゾンビ映画にありがちなご都合的な部分はご愛嬌といったところでしょうか。。

新幹線大爆破」や「スピード」等の乗り物パニック映画の傑作とゾンビが融合した、いかにも韓国映画的発想の大傑作エンターテイメント映画で、ゾンビが苦手な人以外なら誰でも楽しめる映画だと思います。

でもやっぱりマブリーにばかり目がいくんですよね、、仕方ない。。

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