ANNA(アナ)/リュックベッソンまさかの快作
リュック・ベッソン監督最新作「ANNA」。
TOHOシネマズが再開の日、映画ファン的にどんな映画でも見たいという思いで、特に期待もせず見に行きました。
びっくり!面白かった!
まさかリュック・ベッソンの映画でまた面白いと思う日が来るとは思いもしませんでした。
もちろん「グランブルー」や「ニキータ」「レオン」のような映画史に残る傑作ではないのですが、単純に映画として面白い作品になっていますので、映画が見たいけど何を見ようかなぁと思ってる方にはそこそこオススメです。
ストーリーは、ある事件をきっかけにKGBのスパイにならざるを得なくなった主人公アナが、モデルの仕事をするかたわら、様々な暗殺の指令をこなす。そんな日々に疲れ切ったアナの前にCIAの男が現れ、彼女は今度は二重スパイとしての日々がはじまるのだが、、、というお話です。
プロット的にはいつものリュック・ベッソンの映画です。
強い女性がいて、それを取り巻く男性が二人。
しかも今回は男がCIAとKGBというわかりやすい対立構造の二人。
ストーリーもわかりやすく進んでいくのだろうなぁ...と思ってましたが、今回は映画的な「ある仕掛け」を使うことによって、単純なストーリーであるにもかかわらず立体的に見せることに成功しています。
この作品、ポイントは「時系列」です。
「時系列」といって思い浮かぶのが「パルプ・フィクション」や「メメント」ですが、「メメント」のような誰も真似できないような革命的な時系列操作ではなく、「パルプ・フィクション」のように時系列を前後することでストーリーが倍以上に面白くなるという手法に近い感じです。
とはいえ「パルプ・フィクション」は時系列を使わなくても、脚本的にずば抜けている作品ですが。。
「ANNA」の場合は単純に進行したストーリーを少し戻す作業を繰り返すことによって、一度目のストーリー進行の時は単純に思えた話が、二度目でその背景にあるトリックを見せることで、ストーリーが擬似的に多面的に見えるような構造になっています。
ですので、ストーリーとしては単純なのに、厚みのあるストーリーに錯覚させることに成功しています。
考えましたね、、リュック・ベッソン。
ラストで爽快感を味わえる作品ですが、時系列操作がなかったら、これほど気持ちよくラストを味わえなかったでしょう。
アクション的には、リュック・ベッソン作品の最高値を更新していて、見ごたえあるアクションシーンになっています。
が、、「ジョン・ウィック」シリーズほどではないです、もちろん。
「ジョン・ウィック」みたいなアクション映画が出てきたことで、肉体を使ったアクションが売りだった監督やシリーズはかなり割りを食ってる気がします。
でも今時のアクション映画の中では、かなり派手で見応えのあるシーンだったことは確実です。
主人公アナを演じたサッシャ・ルスは角度を変えて見ると、スターウォーズ新サーガのデイジー・リドリーや上戸彩さんにも少し似てますね。
クールな感じの美人で、手足もスラットして、こういう系統の人はアクション映画がやはり似合いますね。
名優ヘレン・ミレンがKGB側の上司の役で出演していて、キャスト全体を見てヘレン・ミレンが演じるにはあまり重要ではないキャラと最初の方では感じていましたが、ラストの方でわかりました。
この映画で一番キーになる人物がこのオルガというキャラクターでした。
あらためてラストがいいというだけで、映画の印象って全然違いますよね。
この点が同じリュック・ベッソンの「LUCY」と真逆でした。
個人的に「LUCY」はラスト前まで楽しめていたのに、ラストで全て台無しになった映画でしたから。。
「ANNA」はストーリーの進行とともに面白くなっていき、ラストで驚かされるという映画としては理想的な展開で、リュック・ベッソン面目躍如の一作となった作品です。