狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

透明人間/秀逸な予告編をさらに上回る驚きの傑作サスペンス

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H・G・ウェルズのSFの古典を、リー・ワネル監督が現代的解釈でリブートした映画「透明人間」

今年3月にアメリカで大ヒットしたこの映画、面白いという噂を耳にしていたこともあり公開初日に見に行きましたが.....驚きのラストでした!

久しぶりに全く予想もしていなかった展開のオチで、なるほど、これはヒットする映画だなーという感じでとても面白かったです。

主人公セシリアは、異常に彼女を束縛する天才科学者エイドリアンのもとを命がけで脱出する。ある日、彼が自殺したときかされて財産を相続することとなった彼女だが、その日以来身の回りに不穏な空気を感じるようになる。実はエイドリアンが透明になる手段を開発したことを知った彼女は、肉体的にも精神的にも追いつめられ、ある悲劇的な事件が起こり彼女は精神病院に収容されるのだが.....といったストーリーで展開されるサイコスリラー作品です。

事前に予想していたレベルよりも、さらに一段階上の考え抜かれた映画で、最近のホラーやサスペンスのレベルの高さをあらためて実感しました。

何を言ってもネタバレになりそうなのですが、映画を見終わって、予告編の素晴らしさにあらためて感動しました。

予告を見て面白そうだったというのも今作を見に行った理由ですが、予告編で結構美味しい場面を見せていたのでしたので、これだけ面白い映像を見せたら映画本編を見るのに影響が出るのではないか?...と見る前は思っていました。

家の外に出た時に何もないところから白い息が出ていたり、スマホカメラで彼女が寝てるところを撮影したり(撮影するシーンはありませんでしたが ...)、案の定、冒頭部分で主人公セシリアが彼氏のもとから逃亡する場面は「あぁこれ予告編で見た」という感じで、あまり緊張感なく見てしまい、やはり予告で見せすぎているのではないかと思っていました。

.....がしかし、美味しいところは一切見せていません! さすが!

しかも予告編によくありがちなパターンですが、本編に入ってない映像も予告に入れていて、 この映画についてはそれが良いように働いていて、この映画を見にいこうとさせるにはちょうど良い演出の映像でした。

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また、今までの透明人間の作品は、基本的に薬で透明になっていて、しかも元に戻る薬がないというのが特徴でしたが、 今回は透明スーツを装着して光のようなものをあてることで透明になるので、これまでとは違った透明人間の表現が出来て、ストーリー展開に幅が広がっていました。

要所要所でその利点が生かされていて、ストーリー的にもこのスーツを着るということが軸となって話が展開していました。この点についてはツッコミどころも多々ありましたが。。

あとは、透明人間に襲われて壁に体がうちつけられてるシーンが CGではなく、ワイヤーアクションで撮影されていて、生の怖さが感じられる映像でした。

水がかかって中の透明スーツが見える場面はさすがにCGですが、メイキング映像などで確認できますが、基本的に生のアクション撮影を多用していて、リアルな恐怖を演出したいという監督の意図があらわれていました。

登場人物が6人ほどに絞られているという点も、よりシンプルにストーリーを追いやすくなっているところが良かったです。

6人すべてが重要性があってストーリーになくてはならないキャラクターになっているので、 感情移入がしやすいですし、危険なシーンはドキドキしましたね。

夏休みにはうってつけの作品ですが、ホラーというよりサスペンス要素が強い作品で、 どちらかというと大人向けに作られた映画でした。

それは主人公にエリザベス・モスを起用していることでも明らかですし、 彼女の限界ギリギリの精神状態の表情が結構私には怖かったですね。。普通の時の表情もちょっと怖く見えますからね、彼女は。

鑑賞後、一番の感想は「怖!.....あの人」という感じで、意外な結末で楽しめた映画でした。

心臓の弱い方以外には、中学生以上ならあらゆる人におすすめできそうな作品です。

 

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