「透明人間」を見る前に見るべき作品その2/ジョン・カーペンター版「透明人間」
近日公開の話題作「透明人間」を見る前に見ておきたい映画の第二弾。
今回は、鬼才ジョン・カーペンター監督による1992年の作品「透明人間」です。
この作品は有名なH・G・ウェルズの原作ではなく、H・F・セイントの「透明人間の告白」をもとにした映画で、ジャンルとしてはドラマなのですが、チェビー・チェイス主演ということもありコメディテイストがふんだんに盛り込まれた作品です。
主人公ニックが仕事でおとずれた建物が放射能事故が起こり、それが原因で彼は透明人間になってしまう。事故現場に向かった諜報機関のジェンキンスは、ニックを暗殺者として利用しようと企てるが彼は逃れ、そこからニックとジェンキンスの追走劇がはじまる.....というストーリーです。
確かに見終わってみるとジョン・カーペンター監督にはH・G・ウェルズ版ではなく、こちらのH・F・セイント版の透明人間の方がテイストとして当てはまる気がしますが、H・G・ウェルズ版の透明人間のダークなストーリーでの監督も見てみたかった気もしますね。
追走劇ですのでサスペンスタッチは少しはあるのですが、どちらかというとラブストーリー的な部分もフューチャーされていて、コメディテイストもふんだんですし、様々な要素がからんだエンターテイメントとなっていて、ジョン・カーペンター的な特色がほとんど出ていない為、かなり見やすい作品となっています。。が、そのあたりが少し物足りない部分でもあります。
透明人間を演じたチェビー・チェイスの軽やかな演技もいいのですが、個人的には敵役のサム・ニールの少し狂気をにじませたインテリ男風キャラの方が好みですね。
サム・ニールはジェームス・ボンドにも選ばれかけた俳優だけに、知的な雰囲気が漂いますが、アンジェイ・ズラウスキー監督の「ポゼッション」での狂った演技により魅力を感じてしまいます。
「ポゼッション」はイザベル・アジャーニの振り切った演技ばかりに目がいってしまいますが、サム・ニールも映画後半にはかなり狂った演技で、歴代狂気映画ランキングでも上位に入る作品に欠かせないピースとなっています。
そんなサム・ニールの狂気の部分が少しかいま見える悪役キャラになっているところが良いですね。
サム・ニールが演じる透明人間も見てみたかった気がします。
そして主人公の恋人役のダリル・ハンナがごく普通の女性を演じているのに驚きました。
私の知ってる彼女は、レプリカントだったり、人魚だったり、殺し屋だったりと普通の演技をしてる彼女の映画をはじめて見た気がします、、覚えてる限りはですが。。
透明人間を題材にした作品としては異端で、一番軽やかな作品となっていますが、一風変わった透明人間映画としても、エンターテイメント映画としても楽しめる作品です。
もうすぐ公開の「透明人間」とは全くと言っていいほど違う路線の映画ですので、あまり参考にはならないかもしれませんね。。