狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

「透明人間」を見る前に見るべき作品その3/オリジナル版「透明人間」

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近日公開の話題作「透明人間」を見る前に見ておきたい映画の第三弾。

今回は、H・G・ウェルズの原作を映画化した1933年の作品「透明人間」。

なかなかこの年代の作品を鑑賞する機会はないのですが、あの「キングコング」もこの年に公開されています。トーキーになって間もない頃に、透明人間とキングコングという歴史的SF作品が二作も作られていることを考えると、SF映画の進化が映画の進化そのもののような気さえしてきます。

そういえばナチスが台頭したのもこの1933年ですね。。

もちろんこの「透明人間」は技術的には今見るとなかなかツラいですが、ストーリーだけを追えば、今見ても引き込まれる内容です。

雪が降りしきる夜、不審な男がロンドンのはずれの宿におとずれる。彼は透明人間に変身した科学者であり、そこで元の姿になる薬品を研究する予定だったのだが、宿の主人らの妨害によりなかなか完成させることができない。苛立った彼は、透明人間の姿をさらけ出し、村人たちを恐怖におとしいれる.....というお話です。

透明人間の原点を知るという意味ではかなり貴重な作品です。

ゾンビ映画などにも共通するのですが、オリジナルの要素をいかに継続させながら新しいプロットにしていくかというのがリブート作品の鍵になっていきますが、その後作られる透明人間を題材にした映画を見て行くと、どれだけオリジナルが優れたプロットだったのかをあらためて知ることができます。

そしてどの透明人間映画にも必ず、女性が重要な鍵になってくるのが興味深いですね。

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理性を失い狂気に走ると、人間は性的なものにとらわれる.....結局、人間もただの動物なんだということを物語っている気がします。

特にもうすぐ公開する「透明人間」のストーカー的な行為は、いかにも現代的な解釈が入ってると痛感しますね。

もともと原作からホラー的要素がある作品なのですが、映像技術の進化とともに、透明人間の恐怖を体感できるものになっていますね。

このオリジナルの「透明人間」ですが、冒頭部分のよそ者が来ただけで、犯罪者よばわりする村の人や、透明人間に脅迫された同僚があまり厳重な警備をされない展開といい、当時の時代状況がかいまみえる内容になっています。

よそ者を良く思わないのは、今でも世界中どこでも行われていることで、相変わらず人間は差別的な生き物だということを再認識しますし、厳重な警備がなされないのも一般人レベルで考えれば今でも変わらない気がします。

戦前の作品ですが、オリジナルのプロットの素晴らしさと、人間の変わらない愚かさを見て取れた貴重な作品でした。

余力がある方は見ておいて損はない作品だと思います、、70分の映画ですので。。

 

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