レディ・プレイヤー1/70歳を過ぎてなお新境地を開拓した天才の凄さ
スティーブン・スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」が地上波で放送されるそうです。
先日の記事でも書いた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を放送したのと同じロードショー枠らしいですが、全く地上波を見ない私にとっても嬉しいですし、洋画の傑作が地上波で放送されるということは、映画に触れる機会が増えるという意味ではとても重要なことだと思います。
コロナ後の劇場事情がどうなるのかはまだわかりませんが、初デートの定番が映画だった最後の世代としては、映画館で映画を見るという習慣をひとりでも多くの人に身につけてほしいと思います。
それはさておき「レディ・プレイヤー1」という作品を劇場で見た時はとにかく驚きました.....スピルバーグの「若さ」に!
近年のスピルバーグ監督は「ミュンヘン」や「ブリッジ・オブ・スパイ」など政治的題材を扱った重厚なものが目立ちますし、「レディ・プレイヤー1」と同時期に公開された「ペンタゴン・ペーパーズ」はトランプ政権への危機感を明確に打ち出したメッセージ性があり、しかも完成度も高いというスピルバーグ作品の中でもトップクラスの大傑作でした。
年齢を考えるとそういった政治的な作品が多くなるのも当然なのですが、そんな中でいきなり飛び出してきたこの作品にはとにかくびっくりしました。
予告編の段階で凄さはわかっていましたが、でもやはり予告編以外のところはそれほどのものはないだろうと高を括っていました。
.....が、びっくりです!
全編が予告編の映像の延長でした!
私はゲームをやらないのでわかりませんが、映画の本編のように、ゲームで描かれている世界を自分が体験してる感覚におちいる映像です。
このあたりがテレビの画面でどこまで共有できるのかわかりませんが、劇場で見た時は完全にヴァーチャル体験でした。
すごく感じたのはゲームの世界というのが強調されているからか、今の技術ならもっと本物っぽく表現できるものを、あえてゲームっぽい映像にしていた感がありました。
本編の七割くらいがCGということもあるのですが、スピルバーグが久しぶりに映像で遊んでいるなぁと感じましたね。
もちろん気の遠くなる予算がかかっている作品ですが、スピルバーグが本気で楽しんでいるのが映像にあらわれていた気がします。
そして、この作品の映像を見ていて「アノ」大ヒットシリーズをついついイメージしてしまいました。
スピルバーグの盟友であるジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」のプリクエルトリロジー(ファントムメナス/クローンの攻撃/シスの復讐)です。
アナキン・スカイウォーカーがダースベーダーになるストーリーを描いたあの3本は、旧作ファンの間で戦犯扱いになっていますし、私の中でも1と2はかなり残念な作品でした。
個人的に一番ダメだった点がCGを乱用している点です。
スピルバーグの「ジュラシックパーク」を見て、自分の本当にイメージする絵が撮れると思ってルーカスがはじめたのがプリクエルシリーズなのですが、当時ガチャガチャして目障りだったCGの感じが、ゲームの世界と思って割り切って見るとこれほど凄い映像に感じるのかということを発見できました。
俯瞰で見ているようで実は直情型のルーカスと、直情型に見えて物凄く視野の広いスピルバーグとの違いが見て取れます。
とディスっていますが、どちらかというと私はルーカスチルドレンなのですが。。
もしかしてスピルバーグはプリクエルシリーズを見て「ゲームみたいだなぁ」と思っていたのでしょうか。。
と思うくらいプリクエルと「レディ・プレイヤー1」は似ている映像な気がします。
本編はサブカル好き、、というか40〜50代くらいの人が一番興奮するようなキャラクターやアイテムが目白押しで、森崎ウィンさんも出演していますし、日本人が見ても圧倒的に面白いエンターテイメント作品です。
すごく感じたのが、こういったSF娯楽作品って、スピルバーグの作品群の中でも実ははじめての作品ではないでしょうか。
「E.T.」とも違うし、「A.I.」とも違うし、、どちらかというとマーベル作品を見終わった後の爽快感があるので、70歳を超えてまた新たな新境地を開拓しているんですよね。
才能はもちろんですが、やはり映画に対する愛情が世界一といえるくらいある証拠ではないでしょうか。
彼の映画をリアルタイムで見られる状況にあるだけで、私たちは幸せなのかもしれないですね。。