狂った朝日 と 汚れた血/映画部

映画や海外ドラマに関するレビュー及び思い入れのある作品について語ったり、それに付随した思い出・ライフスタイル情報を提供いたします。

遊星からの物体X/鬼才が創り上げた時代を超越するSFホラー映画の金字塔

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鬼才ジョン・カーペンターを代表する作品であり「エイリアン」と並ぶSFホラー映画の金字塔「遊星からの物体X」。

多くのマニアを生み出したカルト映画の走りのような作品で、マニアックな文脈で語られることが多いのですが、同じくジョン・カーペンター監督作品の「ニューヨーク1997」同様、映画好きだけのものにするには惜しいくらい誰が見ても抜群に面白いですし、後味の悪い謎を秘めたラストなど、この手のジャンルには珍しいくらい映画的にも完璧な作品です。

1951年の「遊星よりの物体X」のリメイクということもありますが、ジョン・カーペンターの映画とは思えない一級のエンターテイメント作品に仕上がっています。

南極が舞台のこの作品、ある日、ノルウェーの観測隊のヘリコプターが一匹の犬を追いかけるシーンからはじまります。

アメリカ隊の基地に逃げ込んだ犬を追って、ノルウェー人は発砲しながら追いかけますが、逆に射殺されてしまいます。

ノルウェー隊の基地を捜索しに行くと、建物が焼け落ち、不可解な死体が基地内に散乱しており、一行は調査のため残されていた記録フィルムと死体を持ち帰ります。

その夜、保護した犬は急に異様な姿へと変貌し、犬小屋内で次々に犬たちを襲うのだが.....といった展開でストーリーは進んでいきます。

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個人的には状況がわからない状態で、たかが犬一匹のために、発砲してきたとはいえ、何故ノルウェー人を射殺するのか.....という点が永遠に謎ですね。

82年に公開された映画ですが、当時の技術を考えると素直によくここまで作り上げたと思える特殊技術が素晴らしいです。

エイリアンの造形はもちろんですが、CGなしでもアイデア次第でチープな感じにはならないというのを証明してる映画ですね。

個人的に顔だけエイリアンが歩くシーンはいつ見ても笑えます。。

また密室サスペンスとしても超一級の作品です。

これだけ他人を信用できない場所に絶対に身を置きたくないと思って見ているうちに、どんどんストーリーに魅了されていきますし、この人が宇宙人だと思ったらこっちだった!というように心地よく裏切られる展開も素晴らしいです。

人間の弱さや愚かさというのをうまく表現してますし、極限状態になると人間性はどんどんむきだしになっていくというの描いてます。

緊急事態宣言が出ていた状況下で、人間の本性が現れるところをよく見かけましたね。

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登場人物が多い作品ですので、ボーっと見ていると誰が誰だかわからなくなりますが、 何度も見たくなる映画ですので、2・3回と見ていくと、宇宙人にのっとられたキャラクターがサインのようなものを出しているシーンがあったり、そういうのを発見するのも面白いですね。

カート・ラッセルが演じるマクレディをはじめ、個性的なキャラクターが多く、うまく人物像が描かれているため、 2回目以降は人物関係がごちゃごちゃにならないと思います。

人間かエイリアンかを判別するシーンは独特の緊張感があり、 映画史に残る名シーンといってもいいですね。

監督の納得のいく映像が撮れずにカットされたシーンもあるようですが、技術の進歩とともに作品が色褪せがちなSF映画というジャンルにおいて、特殊技術はもちろん、撮影技術やスタッフの熱意が、この作品を時代を超越した名作にしたのではないでしょうか。

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